冷蔵・冷凍・凍結これらの設備は、食品加工、食品流通と私たちの生活に重要かつ必須な社会基盤です。しかし、そこで使用されている一つひとつの設備は数値化されたものではなく、経験値と安全率で設計し、運用は成り行きというものがほとんどです。ましてや温度差を考慮することや、凝縮圧力を低めて運用し、省エネルギーを図ろうという考えはありません。
私達は、現在までの経験値を根拠とした設計手法から脱却し、システム能力を明確化した新しい冷凍システム『ηmax Refrigeration System』を開発いたしました。温度差を見直し、凝縮圧力を積極的に低めた運用で究極の高効率を達成した、地球環境にやさしい新しい冷凍システムです。
凝縮圧力を一般的な制限値より積極的に低め、蒸発圧力に至る必要となる圧力値を下回ることのない最適化と、小温度差(TD)運転によって大幅な電力削減が可能です。
凝縮圧力を一般的な制限値より積極的に低め、蒸発圧力に至る必要となる圧力値を下回ることのない最適化と、小温度差(TD)運転によって大幅な電力削減が可能です。
小さい温度差で運転することでドライビングフォース(昇華推力)の抑制により、保管製品の乾燥を防ぎ、長期にわたる品質保持が可能になります。
R-404a冷媒で庫内温度-60°Cの安定した運用が可能です。-50°C以下の庫内温度で一般的な二元冷凍方式を使用することなく、イニシャル及びランニングコストを大幅に削減します。凍結速度の高速化による高品質凍結を実現します。
熱量計算・機器選定・配管能力計算・建設場所別の年間運転シミュレーションを実行できるソフトウェアを開発し、冷凍システムの組合せ有効能力の計算を可能にしています。これにより年間使用電力の削減量を数量化することにも成功し、使用するお客様のコストメリットと環境への貢献度を正しく明示することが出来るようになりました。
従来の冷凍システムでは、低凝縮温度(tk)、小さい温度差(TD)での運転ができません。従来の冷凍システムで、凝縮圧力を0.9MPa~1.1MPa以下で運転すると様々な弊害が生じ冷却不良となります。その理由は、蒸発器内での分流がさらに悪くなり冷凍機に冷媒液が戻り破損したり、冷凍能力が極端に低下し、冷えが悪くなったりするからです。また、冷媒温度と空気の温度差(TD)が10°C以下での運転も冷媒制御が困難で冷凍効率が悪くなり正常な運転ができません。
ηmax Refrigeration Systemは違います。低凝縮圧力(tk)、小さい温度差(TD)でも運転できます。emRSの冷凍システムでは、冬季外気温が低くなった場合の最低凝縮圧力(to+0.3MPa)でも最高の高効率運転が可能です。また、冷媒温度と空気の温度差(TD)が2°Cでも同様に、負荷変動に追従した理想的な運転が可能です。その結果、以下の効果が得られます。
凝縮圧力を下げて運転できれば、省エネにつながることは世界的に知られていることです。emRSの設計法は、運用現場の気候をもとに高度な数理計画法を用いたダイナミックブログラミングを利用しています。冬季の外気温から、凝縮温度の使用可能な最低値を基準として極限まで凝縮圧力を下げた運転ができるよう設計しています。このことにより、以下のような効果が得られます。
ただ単に、凝縮圧力を外気にまかせて低下させると、製品負荷の増加やデフロスト終了時の庫内温度上昇に連動して蒸発温度も高くなります。これにより冷凍能力も大きくなることから蒸発温度の終点が高くなり圧力降下量も大きくなります。このときに必要となる圧力降下量を上回る圧力値がないと蒸発温度が下がり運転不良を生じてしまいます。tk optimizerは常に蒸発器側の運転状態を監視しながら、フィードバック制御をおこない、冷媒が適正な蒸発温度に至るために必要な圧力降下量を演算し、積極的に凝縮圧力を低下させ最適な運転状態を保ちながら製品品質の保持と節電に大きく寄与します。
冷凍システムにおける物理的問題点として蒸発器への着霜があります。一般的にはこの問題は避けられない事として短いサイクルでのデフロスト(ヒーター、ホットガス等による霜取り)を行っていました。庫内の湿度をもった空気は蒸発器の表面にぶつかり冷却されます。この時、蒸発器の表面温度と空気の温度差TDが大きければ大きいほど蒸発器表面への着霜が誘発され,さらにTDは大きくなります。従来の設計法では、運転状態でTD値が10°C~15°C以上の運転が一般的で頻繁にデフロスト運転を行っているのが現状です。emRSの設計では、非常に低い圧力差で分流精度を高める技術を応用し、TD値を2°C~6°C以内に常に維持することが可能であり、このことにより蒸発器への着霜を驚異的に抑制します。
TD=2°Cの運用を可能にしたemRSは類のない高い技術の証明です。実際にはTD=5~6°Cの運用が品質管理・設備・運用コストともにもっともバランスのよい温度差といえます。
もちろん、この温度差で安定運用できるのもemRSだけです。
凍結品の品質は、細胞内の水分が氷結する温度帯(最大氷結晶生成温度帯-1°C~-5°C)の通過速度によって左右されることは今や常識とされています。適正な風速と庫内温度が低いほど、最大氷結晶生成帯の通過時間が早くなり、氷結晶が細胞内で細かく氷結するため細胞を壊すことなく凍結できます。しかしこれまでは、超々低温(-60°C以下)の庫内温度を安定的に保つには、窒素凍結や二元冷凍方式など特殊な冷凍システムを使用しなければなりませんでした。emRSの冷凍システムでは、低温度差運転を実現しこの温度帯を一般的な冷凍システムで稼動することに成功しました。