事例紹介イータマックスCO2/CO2カスケード式コンデンシングユニット

イータマックスCO2/CO2カスケード式コンデンシングユニット

ηmax それは 「Efficiency through Simplicityシンプルさによる効率化」と私たちは心得ます。

2019年当時、日本では産業用二酸化炭素(CO2)冷凍機に対する需要が伸び始めていました。しかし、エンドユーザー向けの市場にはCO2ブースターシステムしか普及しておらずその他の選択肢はありませんでした。

当社の長年のお客様から代替のCO2ソリューションを検討したいという要望を受け、強い意志のもと「新しい何かを」と課題が出されました。CO2ソリューションに関心のあるお客様にとって、選択肢がないことを目の当たりにした私たちは、既存のCO2ブースター技術を研究することからプロジェクトをスタートさせました。

CO2超臨界システムの基礎理論 

CO2は、1850年代に冷凍機で最初に使われた冷媒の一つでしたが、当初から冷媒として扱いが難しいというイメージがありました。

その要因として:

  1. 圧力が高く、安全性に問題がある。
  2. 臨界点が低く、理論サイクル効率が悪いと思われる。
  3. 部品やシステムの開発が進んでいなかったため、システム設計に多くの制約があった。

その後、技術が進歩し合成冷媒が開発されると、多くの冷凍機メーカーが合成冷媒を採用するようになりましたが、後のLorentz博士が最新のCO2超臨界冷凍システムを開発し、よりクリーンで環境に優しい冷媒を求める世界的な動きと相まって、CO2は冷凍業界においてルネッサンスを遂げました。

この30年間、ブースターシステムの効率化に多くの資源が投入されてきましたが、その一方で、ブースターシステムはますます複雑になってきていることに気づきました。

一方、当社のCO2/ CO2カスケード冷凍システムは、構成機器の開発とCO2ノウハウの進歩により、ブースターシステムに代わる有力な選択肢となり得ることを認識するきっかけになりました。

なぜCO2カスケードシステムなのか?

カスケードシステムと効率の悪さを同一視する人は多いが、それは一部事実である。市場にある典型的なカスケード冷凍システムは、システムにプレート式熱交換器を採用することになるが、プレートの内部で沸騰熱伝達を伴う熱交換では、構造上、沸騰側のプレート間や幅方向で冷媒の流れに偏りが生じやすいことと、沸騰面と吸入管の距離が短いことから液バックが生じやすく、冷媒流量を制限して過熱度を大きくせざるを得ず、結果的に設計した温度差で期待した冷凍能力を得られないという、非効率な運転を余儀なくされていました。

しかし、安全で効率的なカスケードシステムはまさに現在のマーケットニーズであると確信します。

中山エンジニヤリングは、既存のカスケード冷凍機の問題点である熱交換効率の悪さを明らかにし、より効率の良い熱交換器を開発することで、あらゆる気候や地域に対応する、カスケードシステムを最適かつシンプルなソリューションとすることに成功しました。これは、超臨界運転となる外気温度が40℃を超える環境下においても、散水などの補助が全く必要ありません。その逆も然りで、外気温度が7℃以下では高元冷凍機は停止し、COPは格段に高くなります。さらに気温が低下し、-20℃ではCOP=7を超えます(to=-32℃)。

また、定速機であるイータマックスは、冷凍機の保護のために減速なども行わないので、冷凍能力が必要なシチュエーションで冷凍能力の意図的な減少は起こりません。

図1 シェルアンドフィンコイル熱交換器(SFCHX)の断面図

図2 シェルアンドフィンコイル式熱交換器(SFCHX)

私たちは、長年にわたって3000器以上の納入実績を誇るイータマックスユニットクーラーの設計における知見をもって、シェル内部に収容されたフィンコイル熱交換器がどのように作用するか、またその効果を幅広く理解し、実測値から得た数値を数式化し、密閉され限られた容積のシェル内にフィンコイルアセンブリを配置しても、高い熱交換効率を発揮できるという結果を得ました。

低元側吐出ガスと接触しているチューブやフィンを通して熱交換が行われるだけでなく、シェル内に滞留する冷媒をフィンコイルの下部に浸漬させることで過冷却器の機能も有します。

その機能により高元冷凍機の蒸発温度付近までサブクールすることで冷凍効果を大きくすることができる。

また、シェル内部に滞留する過冷却された冷媒液は、低元吐出ガスの拡散によって生じる波状液面に吐出ガスが接触して、直接接触凝縮も促進されます。

このように限られた容積のレシーバー容器内部に、多回路構成のフィンコイルを配置することで、プレート式熱交換器とは比較にならないほどの大きな伝熱面を有する熱交換器として働き、高元蒸発温度と低元凝縮温度の差を非常に小さく運用可能とすることと、コイルの出口では完全な過熱ガスになることで、安全で高効率な運用を可能にしました。

今後の熱交換器の主流となりうる画期的な性能を有する技術と確信しております。

更に詳しい技術情報は、The International Institute of Refrigeration (IIR) のページからIIR会員は無料でダウンロード可能です。(英語)

 

最初のインストール、50%以上の省エネを実現!

冷凍屯:            2000屯                                   仕様:               EM-R2000

室温:               -25℃                                     場所:               紋別

用途:               冷蔵庫                                    納入年月:         2021年10月

 

過去1年間に収集したデータによると、ηmax CO2/CO2カスケード冷凍システムは、古いR22冷凍システムから50%以上のエネルギー節約をエンドユーザーに提供しています。日本のように四季があり、冬季やその中間期において高元側冷凍機を停止して運用できることから、驚異的な省エネルギー運転を実現します。さらに、冷蔵庫側の熱交換器であるイータマックスユニットクーラは、温度差を2~3℃で運用できることから、CO2の三重点-56.6℃以上で運用可能で、冷蔵庫温度を-50℃と超低温にも対応します。このように独自の高い技術力によってカスケードシステムを最適かつシンプルなソリューションとすることに成功しました。

(この場合のカスケードシステムは、CO2/CO2で実施されている。しかし、冷媒の組み合わせや、チューブやシェルの材質は適宜変更することであらゆるガスの液化、冷却、加熱が可能である。)

このシステムの成功は、シンプルであることによって高効率が達成できることを証明しています。2022年末までにさらにいくつかのプロジェクトが予定されており、自然冷媒産業にとって大きな前進となるでしょう!

お問い合わせ・資料請求